2013年8月アーカイブ

初老の知人男性が心臓の手術をする事になり、
彼は自分に万が一の事があったら、
財産は息子達に相続させ、会社関係の事は補佐をしていた人に処分するように、
と、ワープロでタイプし、作成日を9月吉日とました。
それを引き出しにしまい、「何かあったら引き出しの中をみてくれ」、
と言って手術に挑みました。
幸い無事手術が済み、
遺言状はそれっきりになりましたが、
彼がしたこの方法、実は間違っているのです。
というのも、彼はワープロ書きしたものを、
自宅の引き出しの中にしまっていたのですが、これでは
万が一誰も見つけてくれなかったら、それで終わりです。
また遺言には、「自筆」「公正証書」「秘密証書」の3種類がありますが、
今回の彼のものは「自筆」に当たります。
これはワープロ書きではだめなのです。
そして日付も「吉日」では無効で「何月何日」かを、
特定できるものでなくてはなりません。
このように素人だと、きちんと作成したつもりでも、
無効になってしまう事があるのです。
折角つくるのならば、是非、きちんと規則に則った作り方で、無効にならない相続が
できるように作らないといけませんね。

遺言書の作成が必要になるのは、財産を多く所有している人や親族同士の仲が悪く日頃からもめている人に限ったことではありません。
財産が多くても少なくても、いずれは誰にでも起きる問題なのです。
たとえそれまで仲のいい親族であったとしても、相続が原因でもめることも多々あります。
身内が亡くなりショックを受けている上に、更に追い討ちをかけるように難しい相続問題が勃発するなどという事態は避けたいものです。
そこで必要なのが遺言書です。
最近はエンディングノートが話題になっていますね。
「もし自分が死んだらこうしてほしい」という具体的な要望を項目ごとに書き遺せるノートです。
しかし法律に詳しくない素人が作成するには限界や思わぬ落とし穴があります。
やはりプロの司法書士に依頼しアドバイスを受けながらきちんと作成するのがベストです。
2015年には相続税の改正が行われ現在よりも多くの人が税金を支払うことになりますので、司法書士に相談してしっかりとした対策をされることをお勧めします。